牛肉のドライエイジングに挑戦してきましたが、5年位前に自社独自の豚である萬幻豚を使って、豚肉の熟成を試みることにしました。
骨付きのロース・肩ロース・モモの3種類を試してみたところ、初めは「熟成」というより「腐敗」という散々な状況でした。これまでの経験上、それは牛に比べて豚は水分が多いためであろうと、容易に推察されました。
そこで、温度の調整、風の当て方、置き方などを変えながら試行錯誤を繰り返し、やっと適正なドライエイジング環境を見出すことができました。その適正な環境は、湿度70%、強い風を直接吹き付け、骨の面を置台の下に置くことなどです。
しかし状況はそれほど簡単ではありません。
ドライエイジングポークとして提供できる品質を見出しましたが、歩留まりが非常に良くないものとなりました。
骨付きの肩ロース3.8kgのものを熟成させ、除骨し、カビを処置して、脂を整形すると1.5kg。元の肉の約40%にしかなりません。
一方でドライエイジング萬幻豚の成分を分析すると、熟成前の10倍のアミノ酸があり、非常に旨みが強いことがわかりました。牛肉でのドライエイジングによるアミノ酸の増加は約3倍ですから、10倍というドライエイジング萬幻豚の旨み成分増加率は驚くべき数字です。
ドライエイジングポーク熟成萬幻豚は、豚肉という位置づけ、熟成の手間、歩留まりを考慮すると非常に難しい商品であることには間違いありません。
そんな熟成萬幻豚ですが、今では首都圏の料理人の方々からも高い評価をいただいており、開発に挑戦した意義は大きかったと自負しております。
大変ありがたいことです。
ドライエイジングポーク 熟成萬幻豚は、さの萬のオンラインストアでお買い求めいただけます。
ぜひご賞味ください。
◯ 熟成萬幻豚