前回はローストビーフ発祥のロンドンのシンプソンズでのことを書きましたが、今回はさの萬のローストビーフについてお話させていただきます。
さの萬でローストビーフを焼き始めたのは、約40年前になります。小売店など一般にはまだ販売されておらず、ホテルなどのパーティーで出される程度でした。
その高嶺の花であるローストビーフを販売したいと思い立ち、知り合いの料理人に指導を受け、クリスマスの時期などハレの日の料理として、年に数回焼きはじめました。
しかしながら当初は、お客様から「肉の中心が赤く、生みたい」と、あまり売れ行きはよくありませんでした。そこから地道な啓蒙を続け、今では毎日焼いて店頭に出すようになっております。
さの萬のローストビーフの特徴は、肉の選定です。ローストビーフは冷製で食する場合が多いため、しつこさを感じやすい霜降りが強い牛肉よりも、脂がさっぱりとしている牛肉を選んでおります、部位としては、内モモというモモ肉の赤身を使用します。
焼く際には、直経10cm、長さ50cmをさく取して、ハーブとドイツの岩塩、マレーシア産の黒コショウを肉にまぶします。特に塩はミネラルが多い方が、焼き上げたあとに甘みに変わるため、塩味が強すぎないギリギリのところまで、岩塩をたっぷりとまぶします。
鉄板には、香味野菜をたっぷりと敷き詰めて、焼いた時に香味野菜の香りが内に移るようにし、肉の旨味やジューシーさ、香味野菜の香りを楽しんでいただけるようにしております。
高温で表面を焼いて肉のまわりを固め、その後80℃で2時間かけて焼き上げます。しっとりと香り高く、旨みたっぷりのローストビーフが焼き上がります。
(写真はさの萬のローストビーフです)
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